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太陽光発電投資の基礎知識と5つのメリット・5つのデメリットを徹底解説

仕組み・基礎知識
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太陽光発電投資は一定期間の安定した売電収入を得ることが可能で、初期投資費用を回収した後の利益分を効率よく伸ばすことができます。
空いた土地を有効活用する方法としても注目されており、一定の資金が用意できない場合は融資やファンドを利用して始めることも可能です。

他の市場よりも競争率が低いとされている一方で売電価格は年々引き下げられており、年度を経るごとに不動産投資よりも高い利回りが得られなくなるかもしれません。
そのため、利回りに重きを置く場合は早めに参入することが大切です。本記事では太陽光発電投資の特徴を踏まえつつ、5つのメリットと5つのデメリットをそれぞれ解説します。

発電した電気を電力会社に売却して収入を得る「太陽光発電投資」

太陽光発電投資とは、発電した電気を電力会社に買い取ってもらうことで収入を得る投資・資産運用を指します。

設置したモジュール(ソーラーパネル)によって太陽光から電気を発電し、パワーコンディショナなどの設備を使って直流から交流に変換。
蓄電した交流の電気を電力会社に買い取ってもらい収入を得るという流れがベーシックです。

太陽光発電投資では、収益の観点から主に「発電出力が10kWを超える産業用の発電設備」を運用し、数年かけて初期投資費用を回収します。
一方で発電出力が10kWを下回る住宅用の発電設備は、一般家庭における電力供給として戸建の屋上などに設けられるケースが主流です。

発電出力 呼び方 設置場所 買取期限 初期費用回収 収益
10kW以上 産業用太陽光発電 地方の広大な土地 20年 8〜12年? 〇〇円
10kW以下 家庭用太陽光発電 戸建ての屋根など 10年 〇〇年 〇〇円

太陽光発電で得た電力は一定期間価格が変わらない固定価格買取制度で売電されます。固定価格買取制度には、「余剰電力買取制度」「全量買取制度」の2種類があり、発電出力が10kW未満であれば前者の制度が適用されます。
発電出力が10kW以上のケースでは上記2種類の制度いずれかを選択可能です。

両者ともに、売電契約を結んだ際に確定した金額がその後変動することはありません。
余剰電力買取制度は出力制御対応機器の設置義務が地域によって異なり、買取期間は10年です。売電価格は全量買取制度のほうが高く、買取期間も長期の20年となっています。

固定価格買取制度 制度の名称 設置場所 買取期限
10KW未満 余剰電力買取制度 住宅用の屋根など 10年
10kW以上 全量買取制度 広い土地 20年

この固定価格買取制度によって、太陽光発電は単なる光熱費削減や非常用電源ではなく、投資の対象としてもみなされるようになりました。

2012年に制定されたFIT法によって電力の買取が義務化された


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太陽光発電投資が不動産投資と双璧を成すほどに注目されるようになった要因として、2012年に制定された「電気事業者による再生可能エネルギーの調達に関する特別処置法」(FIT法)が挙げられます。

これによって、「太陽光発電を含む再生可能エネルギーを買い取ること」が電力会社に義務付けられたのです。
日本は諸外国と比べてエネルギーの自給率が低く、自然から直接得られるエネルギー資源の埋蔵量が少なくなっています。

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[注1]経済産業省エネルギー庁:日本のエネルギー2007[pdf]

そのため、国内で消費・加工される一次エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っていました。
このようにエネルギーのGDPが低い一方で、原子力を含む一次エネルギー加工した電気や都市ガスといった二次エネルギーの需要は高いのが現状です。

そのため、需給を満たすほかにCO2の削減などを目的にFIT法がスタートしたと考えられています。

太陽光発電投資の5つのメリット!安定収入が見込めて土地付きや融資の選択肢もある


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太陽光発電投資は、不動産やFXといった従来の市場よりも安定した収入が得られ、平均的な利回りも高い投資方法です。ここからは、太陽光発電投資のメリットを5つ解説します。

1. 太陽光発電投資は不動産投資よりも平均的な利回りが高い

太陽光発電投資は不動産投資よりも平均的な利回りが高い傾向にあるため、投資・資産活用に長けている市場です。

2017年における不動産投資の平均利回りは約5.56%

一般社団法人日本不動産研究所が2017年に発表した調査によると、主な政令指定都市9ヵ所における同年の不動産投資の利回りは、平均すると約5.56%ということです。

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[注2]一般社団法人日本不動産研究所:第36回 不動産投資家調査[pdf]

上の表のとおり、最も利回りが高い都市は広島の6.3%、最も低い都市は大阪(梅田)の4.9%でした。

太陽光発電投資の平均利回りは約9.92%という結果が出ている

太陽光発電業者2社の見積もりをとって20年間の利回りをシミュレーション・比較した税理士法人羽生会計事務所の発表によると、2社を合計した際の平均利回りは約9.92%という結果が出ています。

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[注3]税理士法人羽生会計事務所:太陽光発電投資 太陽光発電による資産活用[pdf]

同発表では一社の平均利回りは10.59%(投資回収:約11〜12年)、もう一社は9.26%(投資回収:約12〜13年)でした。

不動産投資と太陽光発電投資それぞれを比較すると、太陽光発電投資の平均的な利回りは不動産投資の1.78倍ほど高くなっています。
そのため、投資回収を終えた後の利益分を効率的に伸ばすことができるでしょう。

また、太陽光発電投資は、銀行から融資を受ける場合、土地のみが担保とみなされるため、融資が不動産投資よりも受けづらく、参入障壁が高い傾向にあります。

そのため、不動産投資よりも競争率が低いブルーオーシャンなので、競合に物件の先手を打たれるリスクも低くなっています。

2. 固定価格買取制度によって長期間の安定収入が見込める

不動産投資やFX投資では、景気動向や国際情勢などの影響によって短期間で大きな価格変動が起きることがありました。
しかし、太陽光発電投資は先述した固定価格買取制度によって一度決まった売電価格は変動せず、一定の価格で20年という長期間の安定収入が見込めます。

不動産投資の場合は「物件を購入後に入居者を募って賃貸収入を得る」というフローがおおまかな流れです。しかし、入居者がなかなか現れず空室の多い状態が長期間続くと赤字になってしまうこともあります。

物件から都市部までのアクセスが良い好立地にある入居率が高い物件は、そのぶん競争率も高いレッドオーシャンです。さらに、単身世帯が主な入居者の層である場合には退去サイクルが速い傾向にあるため、賃貸収入が安定しません。

それでは、FX投資はどうでしょうか。FX投資の場合は20%以上の利回りを得ることも可能であり、レバレッジをかければ少ない元手で倍以上の多額な取引ができます。
しかし価格推移の読みが外れた際の反動も大きく、ギャンブルに近い投資方法のため確実な収入が得られるとは言いがたいです。

一方、太陽光発電投資は天候によって発電出力が変わる点を除けば価格の暴落など収支に影響するリスクとは無縁であり、一度設備を調達できれば安定的な売電収入が見込めます。
不動産投資のような空室期間もないに等しいため、おおまかな年間の発電量がわかれば事業計画も立てやすい投資方法です。

固定価格買取制度は、土地や物件に必要な設備(モジュラーやパワーコンディショナなど)を用意し、経済産業省が指定する庁の窓口にて認定を受ければ利用できます。
電力会社への売電価格は年度を追うごとに低下推移ですが、一定期間の売電契約を結んだ後に価格が下がることはありません。

3. 広い土地を持っていなくても土地付き太陽光発電で投資できる


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一般的な太陽光発電投資は、自らが所有している土地に太陽光発電システムを設けて売電収入を得る「土地活用型」の方法になります。モジュラーを筆頭とする大規模な設備を設置しなくてはいけないため、広い土地が必要です。

しかし「土地付き太陽光発電」を利用すれば、広い土地を所有していなくても投資を始めることができます。土地付き太陽光発電投資は広い土地を持っていない人でも売電収入を得られる投資として注目されており、土地の所有形態によって以下の2種類に区分されます。

  • 土地分譲:土地と太陽光発電に必要な設備がパッケージされたものを購入
  • 土地賃借:土地を借りてモジュールなどの太陽光発電システムは購入

土地分譲は土地の賃料がない代わりに固定資産税が発生し、投資期間が満了した際は設備の撤去費用がかかります。しかし信販会社からの融資を受けやすいとされており、資金調達が簡易です。
一方の土地賃借は固定資産税が発生しない代わりに土地の賃料がかかり、分譲よりも融資を受けにくいとされています。

業者次第では設備の撤去費用が不要なケースもあるでしょう。また、20年の投資期間が満了した後も太陽光発電投資を続行したい場合は土地のオーナーと相談が必要です。
2015年に経済産業省資源エネルギー庁が発表した10kWを超える太陽光発電の運用コストデータによると、土地賃借料の中央値は以下のように示されています。

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[注4]経済産業省資源エネルギー庁:最近の再生可能エネルギー市場の動向について[pdf]

すでに所有している地方の土地を有効活用すれば高利回りも実現可能

先祖から引き継いだなどの経緯で地方に空いている広い土地を持っている場合、太陽光発電投資で有効活用できます。

既存の土地活用方法としてはアパート経営や駐車場経営などが代表的ですが、人口が少なく商業施設も近くにない地方の土地であると集客が見込めません。
そのため、地方に土地を持っているが有効活用できず持て余している人も多いのではないでしょうか。

太陽光発電投資は設備の盗難などを除き人的な動向によって収入がダイレクトに変動する物件ではないため、ほとんど人通りがない地方の土地でも一定の収入が見込めます。
太陽光発電投資を始めるにあたって空いている広い土地をすでに持っている場合、新たに土地を購入・借用する必要は当然ありません。そのため、日射量やモジュールの性能次第では利回り10%を超えることも可能とされています。

4. 業者にメンテナンスを依頼できるため運用の手間がかからない


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太陽光発電システムで得られる発電量は、各機器のコンディションが落ちるに比例して減少します。
そのため定期的にモジュールの清掃やパワーコンディショナの動作チェックなど行う必要がありますが、これらメンテナンス作業は業者に依頼できるため運用の手間がかかりません。
メンテナンスを怠るとパワーコンディショナのフィルタ詰まりが原因で動作が停止し、復旧までに数週間から数ヵ月かかることもあります。

また発電出力が2,000kW以上のシステムであると電気主任技術者が常任となりますが、メンテナンスを業者に依頼すれば専門知識や技術がなくても運用可能です。
業者に依頼せずとも自ら定期的にメンテナンスできる場合、さらに運用コストを抑えることができるため高水準な利回りが期待できます。利回りが高ければ高いほど投資費用の回収が早くなるため、利益分を伸ばすことが可能です。

ただし、海岸沿いなど海に近いエリアに太陽光発電システムを設置すると塩害による劣化のリスクが高くなってしまいます。実際に場所を選定する際はできるだけ内陸部を選ぶようにしましょう。

5. まとまった資金がなくても融資を利用して投資を始めやすい

太陽光発電投資は一定期間の安定した売電収益が見込める一方で、投資プラン次第では土地やシステムなど一定の初期費用が必要です。参入するにあたって大出力なモジュラーや広大な土地を揃える場合は、やはり相応の費用がかかります。

しかし、まとまった資金がない場合は金融機関や地方公共団体などの融資を利用して太陽光発電投資を始めることも可能です。

太陽光発電投資は先述した固定価格買取制度によってローリスクで運用できるため、融資を受けやすいとされています。
金利や条件はそれぞれの機関によって異なりますが、長期間の安定した収入があり、資金を回収できる目処があると判断されるため融資の面で有利です。

太陽光発電投資ファンドなら10万円~など少ない資金でも始められる

太陽光発電投資ファンドは、企業や自治体などが設立したファンドに出資して年に1回など一定間隔ごとに配当金を得る投資モデルです。少ない資金でも市場へ参入できることから昨今注目されています。

自らの土地や太陽光発電設備を保有する必要はなく、太陽光発電システムの運用に関係する手続きなどはファンドが一元的に行うので出資者は事業に直接携わりません。
ファンドに出資する際は、匿名組合出資契約によって事業の利益分配を得る契約を結びます。仮に事業の資金繰りが厳しくなったとしても特別な契約事項などがない限り追加出資の義務は課せられません。

また、出資者は事業の所有権および処分権は付与されませんが、事業収益の配当を請求する権利があります。
1口あたりの金額や運用期間はファンドによって異なりますが、基本的に契約すると期間が満了するまで解約不可です。

出資額としては10万円から募集しているケースが多く、投資の敷居は低いものの、利回りは5〜9%と一般的な太陽光発電投資よりも少ない傾向にあるとされています。
運用期間は短いと1〜5年、長いケースは20年であり、一定の運用期間を終えた後に精算されファンドとの契約が満了になるフローが主流です。

太陽光発電投資の5つのデメリット!気候や方位の影響・下がる売電価格に注意


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太陽光発電は人工的に発電量をコントロールできないため自然の影響を受けやすくなっています。そのため、地域の環境によっては売電収入も一般的な数値を下回るかもしれません。ここからは太陽光発電投資のデメリットを5つ解説します。

1. 雨天や曇天が多く日射時間が短い地域では売電収入が伸びにくい

太陽光発電投資は不動産やFXのように社会的および為替の影響を受けない点が強みですが、発電量は太陽光に依存するため日射時間が短いと売電収入が低下します。

太陽光は日本全国おおよそ均一に降り注ぎますが、梅雨など太陽が隠れて日射時間が短くなりがちなシーズンは発電量の低下が避けられません。
モジュールの発電量は曇りの日では50〜10%、雨天であると20〜5%まで低下するとされています。毎日快晴であれば発電量が高水準でキープされるため売電収入の向上が見込めるでしょう。

しかし年間あたりの雨天・曇天が多く、日照時間が短い地域は発電量も減少するリスクが高く不向きです。

総務省統計局の発表によると、2016年度における日照時間が最も短い地域は青森県(1,622時間)、対して最も長い地域は山梨県(2,188時間)でした。
2016年度はトップとボトムで年間500時間以上の差があり、地域によって太陽光発電投資の向き不向きが顕著に現れています。

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[注5]総務省統計局:社会・人口統計 統計でみる都道府県のすがた2018 B自然環境


太陽光発電投資は日射量によって売電収入に差が生じるため、地域ごとのおおまかな日射時間を把握しなくてはいけません。
日射時間が長い地域に太陽光発電システムを設置すれば他の地域よりも利益分を伸ばすことが可能です。

ただし地域ごとの日射時間は自然環境の推移によって変動するため、年度によっては過去のデータとは異なる結果になることもあります。

また、近年はゲリラ豪雨など1時間あたりに50mm以上の強雨が発生する回数は増加傾向にある一方で、降水日は減少しつつあります。
そのため当面の期間における発電量は、全国的に向上する可能性も考えられるでしょう。

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[注6]環境省および他4省:日本の気候変動とその影響[pdf]

豪雪地帯では積もった雪の重量で故障する雪害のリスクがある

1年間あたりの降雪量が多い豪雪地帯では、積もった雪の重量で太陽光発電設備が故障してしまう雪害のリスクがあります。
太陽光発電で使われている一般的なモジュールの重さに耐える容量(耐荷重)は5,400Pa前後とされていますが、この数値よりも耐荷重が低いモジュールを使っている場合は故障に注意しましょう。

耐荷重5,400Paがどれぐらいかというと、1㎡あたりに550kgの力が加えられた状態のことをいいます。
積雪1cmあたりの重量は約2kg/㎡であるため、一般的なモジュールが耐えられる積雪量は550(kg)÷2(kg)=2m75cm以下となります。ただし積もった雪は自重で圧縮されて密度が高まるため、実際に耐えられる積雪量は2m50cmほどです。

モジュールの表面はガラス製で一定の傾斜があるので雪は滑り落ちやすいですが、太陽光発電投資では平地などに野立てされているケースが少なくありません。

そのためモジュールに積もった雪が落下する地点に一定量の雪が溜まってしまうと、モジュールの上から雪が落ちず際限なく積雪してしまいます。
国内で積雪量の多い地域は東北地方や北海道であり、秋田や山形では最深積雪が4mを超えるシーズンも珍しくありません。
青森および札幌の一部地域では過去に9m以上を観測したこともあり、一般的なモジュールが耐えられる積雪量を大きく上回っています。

モジュールを設置する地域を検討する際は、日射時間に加えてシーズンあたりの積雪量も把握して雪害のリスクが少ない地域を選びましょう。

2. 猛暑日などにモジュールの半導体が熱を帯びると発電効率が低下する


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モジュールに備えられている太陽電池はシリコンの半導体で作られており、熱に弱い性質を持っています。そのため猛暑日などに熱を帯びると、発電効率にロスが生じるケースがほとんどです。

モジュールの性能は25℃を稼働環境の基準にしている場合が多く、発電効率は表面温度が2℃上がるごとに約1%低下するとされています。
日本の夏季は気温が30〜35℃まで上がるため必然的にモジュールが熱を帯びやすいですが、発電効率は気温ではなくモジュールの表面温度によって変動します。

そのため気温が25℃でも常に直射日光があたる環境などでは、実際の表面温度が40℃を越えているケースも少なくありません。また炎天下では表面温度が70℃を超えることもあり、発電効率が著しく落ちるとされています。
表面温度が40℃の場合は基準値の25℃よりも15℃高いので、発電効率が7〜8%ほど低下する計算です。

一方で炎天下における表面温度70℃ではおよそ20%のロスが生じてしまうため、夏季は発電量が落ちて売電収入が低下することもあります。
表面温度の上昇によってモジュールの発電効率を損ないたくない場合は、夏季でも冷涼で表面温度が適度に冷やされる避暑地にシステムを設置しなくてはいけません。
しかし日本の平均気温は上昇傾向であり、環境省および他4省の報告によれば、真夏日(30℃以上)と猛暑日(35℃以上)を記録する年間の日数は増加の一途を辿っています。

熱を帯びたモジュールは水道水を使って冷却する手段がありますが、夏季は水冷しても数時間後には再び高温となってしまいます。
しかし毎回水道水を使って冷やしているとコストが大きくなってしまうため、水冷を図る場合は雨水を循環させる方法がおすすめです。

近年では熱に強いアルファスシリコンを素材に使ったHITというモジュールも開発されており、熱によって発電効率が低下してしまう問題は技術の進歩によって解決しつつあります。

3. 設置する方位によっては発電量に30%も差が出ることもある

当然ですが、太陽光発電システムの発電量は設置する方位によって異なります。

最も高い売電収入が見込める南に対し北は最も相応しくない方位で、北と南では約30%の差が生じるとされています。
発電量に約30%の差があると投資回収にかかる期間も3割ほど長期化するため、北は避けて設置しなくてはいけません。

南に次いで望ましい方位は南西あるいは南東であり、設置する際は可能な限り南向きかつ角度は30°前後にするのがベストです。
経済産業省北海道経済産業局の発表によると、太陽光発電システムを南に設置した場合の発電量を100%とした場合、東や西向きのケースでは15%ほど低下します。

太陽光発電システムは南向きへの配置が主流ですが、モジュールの反射光を筆頭とする光害の観点から太陽光発電システムを南に設置できないことがあるかもしれません。
北向きに設置せざるをえないケースでは南よりも発電効率が落ちてしまいますが、完全な真北ではなく北西や北東であれば発電量の低下は約20%に留まるとされています。

4. 出力制御が実施されると一時的に売電収入を得られない


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出力制御とは、電力の需要に対して供給が上回った際に電力会社が発電設備の出力を一時的に制限する制度で、2015年に内容の一部が改正されました。

保有している太陽光発電設備が一定の条件を満たして出力制御の対象となった場合、一時的に売電収入を得られません。
電力の需要に対して供給が追いついていないと停電などのリスクがある一方で、供給過多だと周波数が上昇するため同様に停電のリスクが伴います。
多様な発電設備で発電された電力はリザーブできないため、電力会社は需要と供給を同時同量で崩さないように努めなくてはいけません。

出力制御の対象となる発電設備は7つの段階ごとに区分されており、発電出力のコントロールが簡易な分野ほど優先順位が高くなります。
最も優先的に出力制限の対象となる発電設備は電力会社が保有する火力発電設備であり、九州電力株式会社の発表によると、太陽光発電設備は自然エネルギーに依存するため比較的低い5段階目です。

電力会社は再生可能エネルギーの買取が義務化されている一方で、電力の供給過多となった際は上記のように段階的な発電設備の出力制御を行います。
火力発電設備やバイオマス発電設備などの出力制御でも解決しない場合、太陽光発電設備も出力制御の対象になるかもしれません。本制度は2015年のFIT法改正によって一部内容が変更され、以下のような新しいルールが制定されました。

出力制御の対象を拡大 主に投資の対象とされている産業用の太陽光発電設備に限らず、500kWを下回る小・中規模な太陽光発電設備も出力制御の対象に包括。
出力制御の上限変更 特定の条件に該当する場合を除き、1年間あたりに無補償で制御される期間の上限が従来の30日間から360時間に変更。ただし指定電気事業者制度が適用される場合は上限なし。
遠隔出力制御システムの
導入を義務化
電力会社が太陽光発電設備を自動で出力制御するために、事業者に対して遠隔出力制御システムの導入が義務化。制御指示機やリミッター機能を搭載したパワーコンディショナなど、システムの設置に伴う費用は事業者が負担。

出力制御が実施される条件や内容はエリアごとに異なる

出力制御が実施される条件や内容は、エリアごとの電力会社に接続した期日および太陽光発電設備の容量によって異なります。

東京電力・関西電力・中部電力
50kW未満 出力制御なし
50〜499kW 2015年4月1日以前に電力会社へ接続申請したケースは出力制御の対象外となり、以降に接続申請を行った場合は上限360時間の出力制御対象。
500kW以上 2015年1 月26日以前に電力会社へ接続申請したケースは改正前のルール(出力制御上限30日)が適用され、以降に接続申請を行った場合は上限360時間の出力制御対象。

北海道電力・東北電力・九州電力
10kW未満 2015年4月1日以降に電力会社へ接続申請したケースは上限360時間の出力制御対象。ただし電力会社の接続可能量を越えた後の接続申請は上限なし。
10kW以上 電力会社の接続可能量を越えた後に接続申請したケースは出力制御の上限なし。

北陸電力・中国電力
50kW未満 2015年4月1日以降に電力会社へ接続申請したケースは上限360時間の出力制御対象。ただし電力会社の接続可能量を越えた後の接続申請は上限なし。
50kW以上 2015年1月26日以降に電力会社へ接続申請したケースは上限360時間の出力制御対象。ただし電力会社の接続可能量を越えた後の接続申請は上限なし。

四国電力・沖縄電力
10kW未満 2015年4月1日以降に電力会社へ接続申請したケースは上限360時間の出力制御対象。ただし電力会社の接続可能量を越えた後の接続申請は上限なし。
10kW以上 2015年1月26日以降に電力会社へ接続申請したケースは上限360時間の出力制御対象。ただし電力会社の接続可能量を越えた後の接続申請は上限なし。

5. 電力の売電価格は年々引き下げられつつある


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太陽光発電で得られた電力は年度ごとに経済産業省が定める固定価格で電力会社に売電できますが、年度あたりの売電価格は年々引き下げられつつあります。

全量買取制度が制定された2012年度における産業用太陽光発電(10kW以上2,000kW未満)の売電価格は税別で1kWhあたり40円でした。しかし2018年度は1kWhあたり18円まで低下しており、ピーク時の半分以下となっています。

産業用太陽光発電(10kW以上2,000kW未満)の売電価格推移
年度 1kWhあたりの売電価格(税別) 前年度比
2012年 40円
2013年 36円 −4円
2014年 32円 −4円
2015年 ※27円 -5円
2016年 24円 -3円
2017年 21円 -3円
2018年 18円 -3円
(※2015年度は7月1日に29円から27円に低下)

売電価格は産業用に限らず住宅用の太陽光発電も年々引き下げられており、昨今の太陽光発電投資は2012年度に比べて利益分が伸ばしづらくなりました。
しかし、経済産業省資源エネルギー庁の発表によると、モジュールを筆頭とするシステム費用の平均値も低下しているため、初期投資費用の回収に費やす期間は以前と大差ないとされています。

太陽光発電の売電による年収計算方法!札幌を例に算出してみた

太陽光発電の売電によるおおまかな年収は、1kWあたりの買取り価格に年間発電量(kWh)を乗算して計算可能です。
年間発電量は平均日射量(kWh/㎡)×356日×モジュールの容量(kW)×稼働効率(%)で求められます。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が提供している日射量データベース閲覧システムによると、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の5都市におけるそれぞれの平均日射量は以下のとおりです。

傾斜角度30°の平均日射量
札幌 3.81kWh/㎡
東京 3.73kWh㎡
名古屋 4.21kWh㎡
大阪 3.91kWh㎡
福岡 3.94kWh㎡

札幌の場合、傾斜角度30°で太陽光発電設備を設置した場合の平均日射量は3.81kWh/㎡という数値が出ています。このケースで年間発電量を算出してみましょう。

年間発電量は雨天や方位などのロス率を含めた稼働効率を考慮して計算します。
ロス率を-20%として発電効率を設定し、容量200kWの産業用モジュールを使用したケースの年間発電量は以下のとおりです。

3.81kWh×365日×200kW×0.8=222,504kWh/年

産業用太陽光発電の売電価格は2018年時点で1kWhあたり18円なので、上記の条件で見込める売電年収は400万5,072円です。
札幌よりも平均日射量が多く、高い発電効率が望める環境で200kW以上の産業用太陽光発電設備を設置した際は売電収入がさらに高額となります。

太陽光発電投資で高い利回りを得るためには早めの参入が吉

太陽光発電投資は不動産投資よりも平均的な利回りが高いですが、売電価格は年々引き下げられているのが実情です。そのため年度を経るごとに両者の利回りはフラットになる見通しであり、太陽光発電投資は参入が早いほど高い利回りを得られます。

先述したとおり昨今はシステムコストの平均値が低下しつつあるため、参入難易度は以前ほど高くありません。また全量買取制度によって安定的な売電収入が見込めるため、初期投資費用がネックな場合は融資を利用することも可能です。

高い利回りが望める機は永年ではないため、参入する方向で意思が固まっている場合は早めにアクションを起こしましょう。