CCDカメラは、撮像素子であるCharge Coupled Devices(電荷結合素子)を組み込んだカメラを指します。
高精度な画像を得られるので、検査機などの「目」として広く活用されています。そのため、CCDカメラの導入を考えはじめるのは、外観検査といった人手作業だった工程を自動化して生産性を向上させたいときでしょう。
しかし、CCDカメラには種類があり、何を選んだらいいのか悩ましいものです。
そこでこの記事では、CCDカメラを選ぶ時のポイントやCCDカメラで生産性を上げるポイントについて解説し、主要メーカの取り扱い製品を紹介します。
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1.CCDカメラとは?工場生産ラインでの活用例
(1)CCDカメラとは
人は「目」を使って物を見ます。
工場のラインで、例えば製品の外観検査をするときには見ることから始めます。それができるのは、「カメラ」です。
目とカメラは同じ機能を持っています。同時に構造・構成も同じです。
図1はその比較イメージです。

目で物を見るときは、水晶体で焦点を合わせ、網膜で光を一旦写しだし、すぐに脳神経に転送します。(図1左)
網膜には光を写す細胞が光の単位ごとに有って、物からの光をすべて網膜に写し出します。
カメラでは、物からの光はレンズで焦点を合わせ、その光をイメージセンサーのフォットダイオードで受光します。光の1単位ごとにフォットダイオードがあって、受光します。
フォットダイオード1つが、1ピクセルと言って、光の単位です。
「このカメラは画素が大きい」と表現されますが、その大きさの分だけピクセル数が多いことを意味します。
1つのフォットダイオードは、数ビットから数十ビットまでありますが、それは受光した光をディジタル数に置き換えるためです。
例えば、簡単にするため、白黒の画像とします。白から黒までを表すには、真っ白と真っ黒の2つの色というわけにはいかず、灰色など何段階かに分けて、白黒を表現します。
普通は、256色で白から黒までを表します。256の数値を表すには、8ビットあれば表現できます。
この場合には、CCDのフォットダイオードは8ビットで光を受光します。
こうしてCCDを構成するフォットダイオードで受光した光のデータは、垂直転送部と水平転送部で集められ、出力され、画像となって表示されます。
(2)工場の生産ラインでのCCDカメラ活用例
図2は、工場の生産ラインにおいて、流れてくる製品をCCDカメラを使って検査する様子を表しています。
生産ラインに乗っている製品の中間検査として、外観検査を実施しているところです。

検査するワークは一定時間間隔で流れてきますので、CCDカメラもそれに合わせて撮像し、画像の解析を行って、結果を知らせる、という手順が必要です。
ワークの検査にあたっては、CCDカメラで撮像しただけでは、外観検査はできません。図2にあるように関係設備が必要になります。
◆ライトでワークの検査が行える、明るさ・輝度・範囲などCCDカメラと適合したライトを選びます
◆CCDカメラで撮像したデータは、直ちに画像処理装置に送られます
◆画像処理装置では、検査を行う前に、画像データのノイズ除去などの前処理を施します
◆前処理後に、検査のためのソフトウェアが起動して、検査結果を表示します。異常があれば、警報などで知らせます。
工場の生産ラインでのCCDカメラを使った検査では、CCDカメラの性能は重要ではなく、それを活かす、照明や画像処理ソフトによってどう活かすかが重要です。
CCDカメラについては以下の動画も参考になさってください。
CCDカメラを選ぶ際は、次章で挙げる項目に注目して選びます。
2.CCDカメラを選ぶ時にチェックしておきたいポイント

(1)画素数
まずCCDカメラでチェックしておきたいのは画素数です。
画素数とは、撮像素子と呼ばれる光の強弱を検出できるセンサの数のことを指します。この画素数が多いか少ないかで、画像を拡大した際の画質(解像度)に差が出てきてしまいます。
たとえば生産装置などにCCDカメラを導入したい場合、外観検査などの欠陥検出が目的である方が多くいます。欠陥検出にはOK/NGの境界面を判定するために、拡大された画像を取り込む必要がありますので解像度が高いものが好まれます。画素数が増えれば解像度は上がりますので、より鮮明な画像を得ることができるようになるのです。
そのため、画素数はCCDカメラを選ぶ上でまずチェックしておきたいポイントとなります。
(2)イメージセンサの大きさ
次に画素数と合わせてチェックしておきたいのはイメージセンサの大きさです。CCDカメラで使用されるイメージセンサは、上記画素数で触れたように撮像素子の集合体です。
実は、イメージセンサの大きさには一定の規格がありますので、画素数が多くなればなるほど良いという訳ではありません。画素数が多くなるほどその範囲内に配置される撮像素子1つのサイズが小さくなります。この場合、撮像素子の受光面積が小さくなってしまいダイナミックレンジ、つまり撮像素子が扱える明るさの範囲が狭くなってしまうのです。
ダイナミックレンジが狭くなると撮影範囲の一部が白飛びや黒つぶれになってしまい、均一な画像を得ることが難しくなります。たとえば、検査対象が円筒ものや凹凸差が大きいものですと、解像度が高くても一部がうまく撮影できていない画像が取り込まれてしまうということになります。
そのため、イメージセンサの大きさもCCDカメラを選ぶ上でチェックしておきたいポイントです。
(3)取り込み速度
最後にチェックしておきたいのは画像の取り込み速度です。取り込み速度とは、カメラが撮像して画像データを転送するまでの間隔のことを指します。別の指標としてはフレームレート(fps)としても表現されます。
フレームレートとは1秒間に何枚撮影できるかになりますので、取り込み速度に換算する場合は次の計算式で求められます。

たとえば、最大31[fps]のCCDカメラでは取り込み速度は約32[ms]となります。
この取り込み速度は、生産ラインで検査対象を動かしながら撮影したいときに影響します。
一般的に生産装置の外観検査でボトルネックになるのがタクトタイムです。
製品1個あたり数秒で次工程に送られるような生産ラインでは、できる限り検査時間を短く済ませることが求められます。
タクトタイムによって製品を動かす速度が決まってきますので、検査領域全体をCCDカメラで撮影するにはその速度に対応した能力が求められるのです。
そのため、取り込み速度もCCDカメラを選ぶ上でチェックしておきたいポイントなのです。
3.CCDカメラの導入メリット・デメリット

こちらではCCDカメラを導入するメリットとデメリットについて解説します。
(1)メリット
①映像の歪みが起きない
CCDカメラはグローバルシャッター方式を採用していることから、高速で動く被写体、あるいは動画撮影でカメラを動かしても画像の歪みが起きないメリットがあります。
グローバルシャッター方式とは、イメージセンサの全領域が同時に露光を開始するものを指します。イメージセンサの上部から下部の露光が全て同じタイミングなので、高速で動いていたとしても、被写体の位置がズレて画像の歪みが発生することがありません。
なお、グローバルシャッター方式に対してローリングシャッター方式というものがあります。
こちらはイメージセンサの上部から下部へ順番に露光を開始するので、高速で動く被写体では、ズレた位置で記録されてしまうため画像の歪みが発生してしまうデメリットがあります。
②調整範囲に幅を持たせることができる
同じサイズのCMOSイメージセンサに対し、撮像素子1つあたり受光面積が広くとれるため、ダイナミックレンジが広くなります。CCDの構造上、撮像素子から電荷を送る配線が少なくて済むからです。
ダイナミックレンジが広くなることで、目的に沿った画像を得るための調整範囲に幅を持たせることができるメリットがあります。
なお、CMOSイメージセンサは撮像素子1つひとつに電荷をその場で増幅する回路が含まれています。その回路が含まれる分、配線が多くなってしまい受光面積が狭くなってしまうデメリットがあります。
CMOSイメージセンサについては以下の動画も参考になさってください。
(2)デメリット
①画素が多い場合は取り込み作業に時間的な余裕が必要になる
CCDの構造上、画素が多い分だけ取り込み速度が落ちてしまうデメリットがあります。
そのため、ある程度、時間的な余裕が求められます。また、それでも取り込み速度を要求される場合、画素数を落としたものを選ぶ必要があるという点に注意が必要です。
②取り扱い企業が少ないため故障時に同等品の用意ができない可能性がある
CCDカメラは高画質な画像を得られるメリットがある一方、製造が難しく取り扱っている企業が限られてしまっていることにも注意が必要です。
最近ではCMOSイメージセンサの開発技術が向上した点と、FA機器に用いられるカメラは小型で低電圧による駆動が求められることから、ほとんどの企業がCMOSイメージセンサに舵きりをしてしまっている現状があります。
そのため、CCDカメラの故障などカメラそのものを交換しなければならない場合、同等品の在庫が存在しないリスクが生じてしまいます。
4.CCDカメラで生産性を上げるポイント

CCDカメラを導入したあとは、いかに精度よく欠陥を検出できるかを追求することが重要となってきます。ここではCCDカメラで生産性を上げるためのポイントを2つご紹介します。
(1)レンズの再選定
CCDカメラで検査対象を撮影する場合、実はレンズも重要な役目を担っています。
被写体を撮影する際、目的に沿った画像を得るにはレンズを基準にした以下の要素も重要です。
- レンズから被写体までの撮影距離
- レンズから撮像素子までの焦点距離
- イメージセンサの大きさと焦点距離によって決まる画角
たとえば、「これまで発生していなかった欠陥を見つけるために検出範囲を拡げたいがCCDカメラは変えられない」といったときに、焦点距離を変えられるレンズなどを再選定することで、目的に沿った画像を得られるようになります。
このように、CCDカメラそのものだけでなく、レンズや照明といった周辺機器を見直すことでも生産性向上につなげることができます。
(2)適切な画像処理方法の追求
CCDカメラから得られた画像はそのまま欠陥判定に使える状態ではありません。
CCDカメラで高精度な画像を得られていても、目的の欠陥を検出するためには様々な画像処理を行います。そのため、生産ラインのような限られた時間内で欠陥検査を終わらせるには、実際にCCDカメラを導入してから検出ノウハウを蓄積していく必要があります。目的の欠陥を検出できるように適切な画像処理方法を追求することが、生産性向上のポイントです。
5.CCDカメラの主要メーカと主力製品

ここではCCDカメラを取り扱っている、主要メーカと主力製品を比較していきます。
| 主要メーカ | 取扱製品 | 特徴 |
|---|---|---|
| キーエンス | CV-Xシリーズ XG-Xシリーズ | CV-Xシリーズ:高速・高解像度の画像処理が可能なスマートカメラ。 XG-Xシリーズ:高精度な画像解析が可能。産業用途に最適。 |
| ソニー | Camera Linkシリーズ(CCD搭載モデル) Standardシリーズ:XCL-Sシリーズ Cubicシリーズ:XCL-Cシリーズ | XCL-Sシリーズ:W50×H50×D57.5[mm]の筺体サイズ。3段階のフレームレートの変更が可能。 XCL-Cシリーズ:W29×H29×D30[mm]のコンパクトサイズ。 |
| Basler(バスラー) | aceシリーズ dartシリーズ | aceシリーズ:小型・高性能な産業用カメラ。 dartシリーズ:コンパクトサイズのボードレベルカメラ。組み込み用途に最適。 |
| JAI(ジャイ) | Sparkシリーズ (SP-12401M-CXP4) Fusionシリーズ | Sparkシリーズ (SP-12401M-CXP4):高解像度・高感度の産業用カメラ。 Fusionシリーズ:マルチスペクトル・ハイパースペクトル対応カメラ。 |
| Baumer(バウマー) | LXシリーズ CXシリーズ | LXシリーズ:産業用・高解像度のラインスキャンカメラ。 CXシリーズ:小型で高性能な産業用カメラ。 |
(1)キーエンス株式会社
キーエンスは、産業用画像処理システムのリーディングカンパニーとして、高速・高解像度なマシンビジョンカメラを提供しています。特に、CV-XシリーズやXG-Xシリーズは、製造ラインの検査・測定に適しており、幅広い業界で採用されています。
主な製品シリーズ:
- CV-Xシリーズ:高度な画像処理能力を持つビジョンシステムで、高速・高精度な検査を実現します。
- XG-Xシリーズ:柔軟なカスタマイズが可能な画像処理システムで、複雑な検査や計測に対応します。
【所在地】
▼ 本社
大阪府大阪市東淀川区東中島1-3-14
https://www.keyence.co.jp/
(2)ソニー株式会社
ソニー株式会社は、2021年にエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業が、ソニー傘下の各事業会社を統合して発足した企業です。主な商品の一つとしてImage Sensing Products(以下ISP)があり、画像処理、検査、監視といった産業用途のニーズなどのに応えたカメラを展開しています。
ISP製品で代表的なCCDカメラはマシンビジョンカメラのCamera Linkです。
| シリーズ | 型式 | 画素数 | センサーサイズ | フレームレート(最大) |
| Standard | XCL-S900 | 900万画素 | 1/1 型 | 18 fps |
| Cubic | XCL-C280 | 280万画素 | 1/1.8 型 | 26 fps |
| XCL-C130 | 130万画素 | 1/3 型 | 31 fps | |
| XCL-C130C | 130万画素 | 1/3 型 | 31 fps | |
| XCL-C30 | 30万画素 | 1/3 型 | 130 fps | |
| XCL-C30C | 30万画素 | 1/3 型 | 130 fps |
【所在地】
▼本社
東京都港区港南1-7-1
https://www.sony.co.jp/
(3)Basler(バスラー)
ドイツに本社を構えるバスラーは、産業用・医療用・科学研究用途向けのカメラを展開しています。コンパクトで高性能なaceシリーズや、組み込み向けのdartシリーズが有名です。特に、GigE VisionやUSB 3.0を採用したカメラは、幅広いアプリケーションに対応しています。
主な製品シリーズ:
- aceシリーズ:コンパクトで高性能な産業用カメラシリーズ。多様な解像度とフレームレートを提供し、GigEやUSB3.0などのインターフェースに対応しています。
- dartシリーズ:組み込み用途向けのボードレベルカメラで、小型軽量ながら高い性能を持ちます。
【所在地】
▼本社
ドイツ シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州アーレンスブルク
https://www.baslerweb.com/ja-jp/
(4)JAI(ジャイ)
JAIはデンマークに本社を持ち、産業用マシンビジョンカメラを世界中で展開しています。特に、高解像度・高感度なCCDカメラを提供しており、ラインスキャンカメラやマルチスペクトルカメラに強みを持っています。
主な製品シリーズ:
- Go-Xシリーズ:堅牢で信頼性の高いエントリーレベルの産業用カメラ。多様な解像度とインターフェースオプションを提供します。
- Sparkシリーズ:高解像度・高フレームレートを特徴とするカメラシリーズで、高速生産ラインでの検査に適しています。
【所在地】
▼本社
デンマーク コペンハーゲン
https://www.jai.com/jp
(5)Baumer(バウマー)
スイスに本社を構えるバウマーは、産業用カメラとセンサ技術で定評があります。特に、堅牢性と高性能を兼ね備えたLXシリーズや、コンパクトなCXシリーズが代表的です。
主な製品シリーズ:
- VLXTシリーズ:10GigEインターフェースを持つ高性能カメラで、内部メモリ録画や防水・防塵仕様を特徴とします。argocorp.com
- VCXU.2シリーズ:USB3.0インターフェースを採用した省電力・高画質カメラで、コンパクトな設計が特徴です。
【所在地】
▼本社
スイス フラウエンフェルト
https://www.baumer.cn/cn/en
6.CCDカメラ導入に関するご相談はFAプロダクツへ
CCDカメラは手軽に高精度な画像を得られるカメラでもありますが、自動化装置に組み込みたい場合などは使用用途に適した性能を選ぶことが重要です。特に生産ラインの自動化を検討するには様々な分野が複合的に組み合わされるため、導入する際には経験豊富な専門家の力があるとよいでしょう。
もし、CCDカメラの導入にお困りでしたら、ぜひFAプロダクツまでお問い合わせください。豊富な知見を活かし、お困りごとに合わせた最適なソリューションを提供いたします。
また、導入前に「Plant Simulation」や「Process Simulate」のシミュレーションを行うことで、ムダの削減・設備の最適配置・生産性向上を実現できます。
・Plant Simulation:生産ラインや物流フロー全体の流れをシミュレーション
・Process Simulate:ロボットや機械の動作を3Dで再現し、干渉や作業効率を検証
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【所在地】
つくばベース:茨城県土浦市卸町2-13-3
TEL:050-1743-0310
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)















