OPCサーバは、工場内の制御機器同士の相互接続を行うためのアプリケーションですが、近年重要性が高まっています。
1.OPCサーバとは?

(1)OPCサーバの役割と必要性
工場内では、ロボット、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、センサ、制御機器など、さまざまな装置が稼働しています。これらの装置はメーカーや機能が異なるため、使用する通信プロトコルやデータ形式もバラバラです。
こうした装置同士や、上位システム(MESやSCADAなど)との間でデータをやり取りしようとすると、それぞれの仕様に合わせた個別の通信処理が必要になり、非常に多くの開発・保守工数が発生します。
そこで重要になるのが、「OPC(OLE for Process Control)」と呼ばれる共通の通信規格です。OPCは、異なる装置間でのデータのやり取りを標準化し、共通のインターフェースを提供することで、装置のメーカーや機種を問わずデータ連携を可能にすることを目的としています。
(2)OPCサーバの役割
OPCを実現するための中心的な存在が「OPCサーバ」です。
OPCサーバは、PLCなどの装置が使うメーカー固有の通信プロトコルと接続し、そこから取得したデータを、OPCの形式に変換して上位システムに提供します。逆に、上位システムからの命令をPLCに伝える際も、OPCサーバがその通信内容を変換して送信します。
これにより、上位のアプリケーションやMESは、装置ごとの複雑な通信仕様を意識せず、統一されたインターフェース(OPC UAなど)を通じてデータの取得や制御が行えるようになります。

(3)OPCクライアントとは?
「OPCクライアント」とは、OPCサーバに接続してデータを送受信するアプリケーション側のことを指します。上記図ではMESとSCADAはOPCクライアントとは別物として表現していますが、ソフトウェア(アプリケーション)の構築次第では、MESやSCADAなどもOPCクライアントに該当します。
装置(PLCなど)がOPCクライアントであるという説明は誤解を招きやすいですが、近年の一部PLC(例:Siemens S7-1500など)はOPC UAサーバ機能を内蔵しており、その場合はPLCが直接クライアントから接続を受けることも可能です。
(4)OPCサーバのメリット・デメリット
以下のような構成で、OPCサーバを経由せずとも、PLC等のデータをMESに送信することは可能です。

このような単一の中間ソフトウェアを設ける構成に対して、OPCサーバを導入するメリットデメリットは下記の通りとなります。
OPCサーバを導入するメリット
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 異種PLCとの接続が簡単 | OPCサーバは、三菱・キーエンス・オムロンなど複数PLCのプロトコルに対応。中間ソフトウェアが個別対応しなくて済む。 |
| 上位システムとの標準インタフェース(OPC UA)提供 | MESやSCADAは、装置の違いを意識せず共通形式でデータ取得できる。システム拡張時も便利。 |
| 接続設定・保守の分離が可能 | 通信設定・タグ定義はOPCサーバ側で完結。中間アプリやMESの再構築なしにPLC追加が可能。 |
| 商用サポート・成熟した製品 | KEPServerEXやたけびし製などは信頼性が高く、障害時の対応・ドキュメントも豊富。現場でも安心して採用可能。 |
| 複数クライアントからの同時アクセスが可能 | MES・SCADA・BIツールなどが同時にデータ取得できる(OPCサーバがハブの役割) |
OPCサーバを導入するデメリット
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| ライセンスコストがかかる | 製品によっては、接続デバイス数・ドライバ数で課金される。自社開発ソフトより初期費用が高くなることも。 |
| 構成がやや複雑になる | OPCサーバが追加されることで、ネットワーク構成・障害調査が1段階増える。管理項目もやや増加。 |
| 柔軟な制御・ロジック実装には不向き | OPCサーバはあくまで通信ハブであり、条件制御やタイミング制御は別途ソフト側で対応が必要。 |
| 日本語化・特定装置への対応にばらつきあり | 製品によっては日本語ドキュメントが少なかったり、国産PLCの細かい機能に対応していない場合がある。 |
(5)なぜ今、OPCが求められるのか?
近年、製造現場ではIoTやDXの推進により、設備からのデータ収集・分析が求められています。設備ごとに通信方法が異なると、システム全体の連携が難しく、拡張性も低くなってしまいます。
OPCサーバを導入すれば、現場の設備と上位システムとの間を柔軟かつ効率的に橋渡しすることができ、将来的なシステム統合や拡張にも対応しやすくなります。
2.OPCサーバを選ぶ際のポイント

前項では、OPCサーバの概要を説明しましたが、次にOPCサーバを選定する際のポイントを解説していきたいと思います。OPCサーバの選定にあたって重視する点は主に以下の3つです。
(1)動作環境
(2)OPCクライアントとの相性
(3)開発言語との相性
(4)実装したい機能
一つずつ説明していきます。
(1)動作環境
OPCサーバは、コンピュータ上で動作するアプリケーションの一つなので、動作環境が重要になります。
動作環境に関しては様々な要素がありますが、一番は、パソコンのOSです。OSとは例えば、Windows、MAC OS、Linuxなどといったパソコン内部のオペレーションシステムのことです。
Windowsではダウンロードできるアプリケーションが、MACではできないと言った経験を誰もが経験したことがあると思います。これはOSが違うので引き起こされていることで、同じ情報をどう処理するかと言うルールを各OS毎に独自で持っていることから引き起こされます。
OPCサーバもこの例に漏れず、動作するOSとしないOSがあります。後述しますが、OSの環境は、ほとんどWindowsが推奨されており、Linuxも動作するサーバもあります。MAC OSは著名なところでは対応していません。
また、OSのバージョンが古いと対応していないこともあります。最新バージョンのOSであれば確実に大丈夫ですが、大規模な製造現場になると、何百台ものパソコンが動作しており、簡単にアップグレードできないこともあって、古いOSを使い続けている場合もあります。
その場合は、現在のバーションで動作するのか、調査することが必要でしょう。
また、OSの他にも、通信環境が問題になる場合もあります。OPCサーバとクライアントの通信は、一般的にイーサネットIPで行われることが多いですが、PLCの一部ではイーサネットIP対応しておらず、COM通信などで通信方式を代用していることもありますので、注意が必要です。
その他にも、動作するフレームワークによっても動作しないこともあります。
(2)OPCクライアントとの相性
OPCサーバと繋がるクライアントとの相性も重要です。基本的には、OPC対応している装置であれば、問題なく接続できるはずですが、中には動作負荷などでうまく動作しない機器があります。
例えば、たけびし(三菱電機系列の会社)のOPCサーバが同じ三菱電機製の放電加工機とOPCで繋がらないことはありませんが、Kepware製のOPCサーバなら可能性はあります。デバッグの数が少なく、バグ出しがされていないと言うことが考えられるからです。
OPCサーバの選定の際には、使用するクライアント装置での使用実績を調査して、できれば実績の多いOPCサーバを選定することが無難です。
(3)開発言語との相性
開発言語との相性も重要です。開発言語とは、OPCサーバを利用したアプリケーションを制作する際に重要になってきます。
例えば、OPCサーバを外部からリモートで動作させて、必要なデータを取得してくるためのアプリケーションを作成するとすると、コンピュータ側で何らかの開発言語を使用する必要があります。対応していない言語では、開発することが出来ず、OPCサーバ単体での動作しかできなくなってしまいます。
動作OSがWindowsが主流であることから、開発環境は.NETフレームワークを有するVisual Studioが最有力になります。
(4)実装したい機能
実装したい機能に合わせたサーバを選定することも必要です。
- 何台くらいの装置を接続させるのか
- どれくらいの頻度でデータ通信を行うのか
- 扱うデータの形式(文字、数字、バイナリ)は何で、どれくらいの容量か
など、考慮する点は多く、より適したOPCサーバを選定することが必要になります。
3.OPCサーバメーカの比較

OPCサーバの選定の際に考慮する点を述べましたが、具体的なメーカをいくつか挙げて特徴を説明します。
(1)株式会社たけびし
株式会社たけびしは三菱電機系列の機器を取り扱う会社で、様々な電子機器や装置を取り扱っています。取り扱うOPCサーバは「デバイスエクスプローラ」と言う製品です。動作OSはWindowsのみで、動作フレームワークは.NET3.5以降です。
その他の特徴は以下になります。
- 200機種以上の装置との接続を提供する
- 24時間連続操業システムに対応しており、動作変更の際にマシンを動作を止める必要がない。(バックグラウンド編集)
- 日本語・中国語・韓国語・英語といった多彩な言語に対応している。
産業機器の老舗ともいえる三菱電機製ということもあって、製造現場での評価は高く、多くの工場で使用されているOPCサーバです。また、日本メーカで実績のあるOPCサーバの会社はたけびし以外は殆どないので、実質的なファーストチョイスと言えます。
機能の違いは以下のようになっています。
スタンダードエディションで、OPCサーバの基本的な機能はカバーしていますので、エンタープライズやアドバンストを使用する際には、きちんと設備の仕様をけってしてから購入することを推奨します。
| エディション | アクセス可能機種 | スクリプト | OPC UAサーバー機能 |
| エンタープライズ | 全機種 | 制限なし | 利用可能 |
| アドバンスト | 1機種 | 1秒固定/1個 | 利用可能 |
| スタンダード | 1機種 | 1秒固定/1個 | – |
(2)PTC:KEPServerEX
PTC(Parametric Technology Corporation)は1985年に設立された米国の会社で、OPC関連商品の専門開発を行っています。取り扱うサーバは「KEPServerEX」と言う商品です。動作OSは株式会社たけびしと同じくWindowsのみで、動作フレームワークは.NET3.5以降です。
その他の主な特徴は以下になります。
- 1000機種以上の装置との接続を提供する
- OPCサーバの単一サーバ化によるリソースの低下
- OPCブリッジによるOPCサーバの単一サーバ化
- 日本語・ドイツ語・英語といった多彩な言語に対応している。
特徴としては、ハイエンドな機能を多く備えていることです。1000台単位の機器を管理するような大規模なシステムであっても、問題なく動作するような機能が盛り込まれています。
購入前に2週間の間、ダウンロード版で試すことができるため、効果を確認してから購入できるのはいい点です。ただ、日本製ではないので、日本メーカ製の装置と接続する際には、確認を行ってから購入する方が無難です。
4.OPCクライアント・ミドルウェア開発に関するご相談はFAプロダクツへ
FAプロダクツでは、OPCクライアントソフトやMES・PLC間をつなぐミドルウェアの開発を行っており、
お客様の設備構成や要件に応じた柔軟なカスタマイズ対応が可能です。
状況によっては、OPCサーバを導入せずに、中間ソフトウェアを設けることでコストを抑えられるケースもあります。
FAプロダクツでは、三菱電機、キーエンス、オムロンなど主要メーカーのPLCと直接通信可能なライブラリを保有しており、設備に応じた効率的な構成のご提案が可能です。

たとえば、以下のようなお悩みをお持ちのお客様は、ぜひ一度ご相談ください。
- 既存のシステムにOPCをどのように組み込めばよいかわからない
- パッケージソフトでは対応できない通信制御を行いたい
- MESとPLCをつなぐ中間層を構築したい
FAプロダクツでは、現場の運用に即した、シンプルで柔軟なソリューションをご提供しています。
まずはお気軽にご相談ください。
また、導入前に「Plant Simulation」や「Process Simulate」のシミュレーションを行うことで、ムダの削減・設備の最適配置・生産性向上を実現できます。
・Plant Simulation:生産ラインや物流フロー全体の流れをシミュレーション
・Process Simulate:ロボットや機械の動作を3Dで再現し、干渉や作業効率を検証
FAプロダクツでは、シミュレーションの活用支援も行っておりますので、ぜひご相談ください!
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【所在地】
つくばベース:茨城県土浦市卸町2-13-3
TEL:050-1743-0310
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)















