1.はじめに
私たちの日常生活になくてはならないものが、半導体を組み込んだ機器や情報を見るディスプレイです。半導体はウェーハ上に描いた回路をチップとして切り出して、コンピュータなどに組み込まれます。
ウェーハ上に描く回路は、コンピュータで設計した回路を鉛筆で書く、というわけにはいきません。ウェーハ上に感光物を貼り付け、影絵のように回路を写し出して、その影以外の部分を切り出すことで、回路チップが得られます。
この影絵のように回路を写し出す立役者が、マスクです。もしマスクがほんのわずかでも設計と違ってしまうと、ウェーハから作られる回路チップは設計と違ってしまい、これを使った機器は誤作動を起こします。
このような問題が起きないようにマスクの信頼を確保するものが、このコラムで扱うマスク検査装置です。
また、マスク検査装置をラインに導入して、
・省力化、省人化してコストダウンしたい
・生産性アップして売上を上げたい
・人的ミスを減らして品質価値を高めたい
・どのメーカーのマスク検査装置を使えば効率的かわからない
場合は、関東最大級のロボットSIer、FAプロダクツまでお問い合わせください。
経験豊富な技術者が、最適なご提案をさせていただきます。
2.マスクとは
マスクを用いて製造するものは、次のようなものです。
- ウェーハからの半導体チップ
- FPD(フラットディスプレイ)の回路
- 電子基板の回路
- マイクロマシンの回路
このマスクは一般的にフォトマスクと呼ばれていて、ここで挙げた製造品の回路は、同じような方法で製作されます。
このコラムでは、半導体のフォトマスクについて紹介します。

図1は半導体チップを製造する工程を表しています。
フォトマスクに形成された回路に光を当て、ウェーハ上の酸化膜を露光して半導体回路を形成します。
ウェーハ上に同じ回路が作られ、それを一つずつ切り出した(ダイシング)チップをパケージに設置しワイヤリングすることで、半導体パッケージが完成します。
図2では、フォトマスクの製造工程を紹介します。

図2のイメージ図のように、フォトマスク製作は次の工程で進められます。
1) マスタパターン生成工程
フォトマスクの製造では、初めに回路のパターンをマスク上に作り上げることから始まります。回路パターンは、回路設計からマスタのパターンが作られます。
2) マスク基板製作工程
フォトマスクは、ガラス基板上にクロム膜が張られたものです。基材には半導体ではガラス、FPDではフィルムが用いられるように、製造するマスクの種類ごとに異なる素材が使われます。
3) パターン形成工程
フォトマスクに光で回路パターンを露光します。露光された部分とされない部分を切り分けて、マスク上にパターンが形成されます。
4) 検査・修正工程
この工程は、マスクに形成された回路パターンが正常かどうかの検査です。さらに、不具合点が見つかったときには、修正を行います。これらの動作を行うものが、マスク検査装置とマスク修正装置です。
5) 洗浄工程
検査と修正を行って正常化されたフォトマスクは、洗浄されて製品として出荷されます。
3.マスク検査の内容や検査装置
マスク検査は、マスク製造上で発生する欠陥や不良を見つけ出すことです。
フォトマスクの製造過程で、生じる不具合には、次の3つがあります。
- 外観上の不良
- 回路パターンの寸法の精度不良
- 回路パターンの位置の精度不良
これらの検査項目について、表1で紹介します。
表1 フォトマスク検査項目
| 検査分類 | 検査項目 | 検査内容 | 検査装置 |
| 外観検査 | パターンの形状欠陥 | パターンの黒点、欠け、接触、断線、他 | 比較検査装置 |
| 異物 | 異物が付着 | 顕微鏡 | |
| 光学濃度の不足 | 膜の光学濃度が薄い部分がある | ||
| 傷 | 基板・膜に機械的損傷がある | ||
| 回路パターンの寸法精度検査 | 設計値ずれ | 寸法が設計値と比較してずれがある | 透過光式測長機 |
| 回路パターンの位置精度検査 | 直交性 | X軸とY軸が90°からずれている | 座標測定機、長寸法測定機 |
| 倍率 | オリジナルに比べて全体に比例したずれがある |

図3で紹介しているものは、フォトマスクのパターン欠陥例のイメージ図です。
パターンの形状欠陥は、マスクに回路パターンを転写する際に、機械の調整不良などでパターンがマスタとは違ったものとして形成される不良です。
図3で紹介している、黒点・欠け・接触・断線は、パターン欠陥の一例です。
これらの欠陥をそのままにして半導体を作ると、欠陥のあるパターンそのままの回路を作ってしまうため、半導体回路の誤作動の原因となります。
4.マスク検査の例
フォトマスクのパターン欠陥の検査について、図4と図5でその検査イメージを紹介しましょう。

パターン欠陥の一つにランダム欠陥があります。フォトマスクには複数個の同じ回路パターンで構成されますが、ランダム欠陥は、それらの回路のうち1つだけに起こる欠陥です。
そのため、2つのパターン回路を比較すれば、その欠陥が発見できます。
具体的には、2つのパターンの画像を重ね合わせ同じ部分を取り除けば、欠陥の画像だけが分かります。その欠陥の座標を記憶し、顕微鏡で詳細を調査し、欠陥修正を行うことができます。
2)ダイ to データベース検査方式

パターン欠陥がランダム欠陥でなく、システム欠陥の場合はどうでしょうか。
システム欠陥とは、フォトマスクに複数個あるパターン回路の、どの部分でも同じ位置に存在する欠陥です。フォトマスクを作る過程で、機械に何らかの調整不良があれば、システム欠陥が生じます。
システム欠陥の場合、図4の比較方式では、同じ欠陥のあるパターン同士を比較するため、欠陥が抽出できません。図5の方式では、マスタの画像と比較するため、欠陥の存在を知ることができます。
システム欠陥の座標を記憶し、パターン欠陥の種類や位置の情報から根本原因を突き止めて対策を打つことで、フォトマスク製造の信頼性の向上が期待できます。
検査装置には、図4の方式と図5の方式を併せ持って、検査対象ごとに使い分ける検査装置もあります。
5.マスク検査装置関連メーカー3選
①レーザーテック株式会社
【特徴】
マスクブランクス検査、EUVマスク検査、レチクル検査において世界シェアトップ。EUV時代の中核メーカーとしてグローバル展開中。
【所在地】
神奈川県横浜市港北区新横浜2-10-1
②株式会社ニコンエンジニアリング
【特徴】
レチクルメトロロジーやマスクアライナーの分野に強み。マスクパターンの高精度測定技術を保有。
【所在地】
東京都品川区西大井1-7-11
③KLA Corporation
【特徴】
世界最大の半導体検査装置メーカー。レチクル検査装置(TeraScanシリーズなど)を展開し、EUVやArFマスクの検査にも対応。Lasertec株式会社の唯一の競合と言える存在。
【所在地】
アメリカ
6.マスク検査装置導入やメンテナンスのご相談はFAプロダクツへ
半導体やFPD製造に欠かせないマスク検査装置は、非常に高度な技術と繊細な機構を必要とします。
そのようなマスク検査装置を完成できた背景は、5章のマスクメーカー3選で見てきたように、創業から地道に電子部品や応用機器を開発やサービスを続けてきた技術の積み重ねに負うものが大きいことです。
5章で紹介したマスク検査装置に関連する事業は、製造・販売やサービスを含め多くの会社が関わっていて、長年に渡り蓄積しているノウハウや経験を持っています。
半導体やFPDを製造、設置する会社も多くありますが、その信頼を勝ち取るために検査装置や検査機器の適応に苦労があると想定できます。
そのような日常の悩みは、マスク検査装置関連事業を行う会社に相談することで、案外、簡単に解決できる場合もあるのではないでしょうか。
各種検査装置の導入をご検討の際は、お気軽にFAプロダクツまでご相談ください。
また、導入前に「Plant Simulation」や「Process Simulate」のシミュレーションを行うことで、ムダの削減・設備の最適配置・生産性向上を実現できます。
・Plant Simulation:生産ラインや物流フロー全体の流れをシミュレーション
・Process Simulate:ロボットや機械の動作を3Dで再現し、干渉や作業効率を検証
FAプロダクツでは、シミュレーションの活用支援も行っておりますので、ぜひご相談ください!
Plant Simulationについてはこちら
Process Simulateについてはこちら
【所在地】
つくばベース:茨城県土浦市卸町2-13-3
TEL:050-1743-0310
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)















